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シュミットトリガインバータを使った矩形波発振回路

前回は、オペアンプを使った矩形波発振回路を試してみました。

オペアンプを使った矩形波発振回路
2023.6.9内容を新しくした記事を投稿しました。こちらも併せてご覧ください。 いつかオシロスコープを買ったら、やりたいと思っていたことがあります。 発振回路を作ってみたい (^_^;) その夢が叶いましたので、発振回路を作って波形を観察...

今回は、これもググるとよく出てくるシュミットトリガインバータを使った回路を実験してみます。

シュミットトリガインバータ 74HC14 を使った矩形波発振回路

図 (1) 74HC14 を使った発振回路

まず初めに、シュミットトリガインバータ 74HC14 を使った回路を、図 (1) に示します。

この回路のポイント。ググると出てくる多くの回路には、入力側の抵抗 R2 がありません。
でもこれ、忘れがちですが、保護抵抗です。ないと、IC が壊れます。運が悪いと、壊れるかも。たぶん。

74HC14 のデータシートを見ると「入力保護ダイオード電流」という項目があります。数値は ±20mA で、これを超えると IC が壊れます。
問題になるのは +20mA という、入力から IC へ流れ込む電流。

たとえば、コンデンサの電圧 (A 点) が 5V のときに、IC の電源を切ったとしましょう。すると、コンデンサに蓄えられた電荷が、入力から IC 内部を通って電源ラインへと流れる。その電流が 20mA を超えてしまうと IC が壊れます。
そこで、20mA を超えないように、抵抗 R2 を入れます。そう、入れるんですよ、忘れずに (^_^;)
余裕をもって 10mA 以内にしておきましょう。電源 5V とすると R=5/10=0.5KΩ なので、1KΩ としておきます。

ところが、です。俺の部品箱には 74HC14 がない (;´Д`) ので、上の回路で実験してません。すみません m(_ _;)m でも、きっとうまく発振するはず、です。

シュミットトリガインバータって、なに?

「シュミットトリガ」とは、シュミットさんが発明した入力回路のこと。「インバータ」は反転、つまり NOT のように、入力と出力が反転する回路です。
シュミットさんの発明の何がすごいかって言うと、二つのしきい値を持っている、ってことです。二つのしきい値を持っている、というのは、ヒステリシス特性がある、ってこと。

たとえば、電源電圧が 5V の普通のインバータ (NOT 回路) の場合、しきい値は 2.5V です。入力電圧が 2.5V を超えると出力は LOW (0V) に、2.5V を下回ると HIGH (5V) になります。
じゃ、2.5V のときは? どっち転ぶかわかりません。

シュミットトリガインバータは、しきい値が高低二つあります。
入力電圧が 0V からだんだん高くなって、高しきい値の 2.7V を超えると出力が LOW になります。逆に、だんだん低くなって低しきい値の 1.6V を下回ると出力は HIGH になります。どっち転ぶかわからない状態にならない。これが、ヒステリシス特性です。

シュミットトリガインバータ 74VHCT14A を使った矩形波発振回路

部品箱に 74HC14 はないですが、ジャンク箱に 74VHCT14A があります。いつも、俺が使っているシュミットトリガインバータです。こいつを使って、矩形波発振回路を作ってみましょう。

ちなみに、74HC14 と 74VHCT14A の違いですが、VHC は高速で低消費電力、T は入力が TTL レベルってことになってます。
入力が TTL レベルってのは、HIGH が 2.0V 以上、LOW が 0.8V 以下です。C-MOS レベルでは HIGH が 3.5V 以上、LOW が 1.0V 以下です。なので、オペアンプの出力 3.5V を受けるときなんかは、要注意です。

図 (2) 74VHCT14A を使った発振回路

図 (2) が、シュミットトリガインバータ 74VHCT14A を使った矩形波発振回路です。

おい、保護抵抗、忘れてるぞっ!

いやいや、忘れてなんかいません。

じつは、この 74VHCT14A には「入力トレラント機能」ってのがありまして、上で説明したような、電源が 0V になっているときに 5V の入力を与えても、IC へ電流が流れ込まないようになっているんです。
だから、こいつに保護抵抗は必要ないんです。

74VHCT14A のしきい値は、高しきい値 VP=1.9V 、低しきい値 VN=0.5V です。

あるとき、コンデンサ C1 が放電し A 点の電圧が低しきい値 VN=0.5V を下回ると、出力 O 点が HIGH (5V) になります。すると、抵抗 R1 を介して C1 は充電されます。A 点が高しきい値 VP=1.9V を超えると、O 点が LOW (0V) に反転し、C1 は再び放電を始めます。A 点が VN を下回ると…
と繰り返し、発振する。そんな仕組みです。

発振周期 T は、

T = CR = 4.7KΩ × 0.1μF = 0.47ms

とのこと。周波数にすると 2130Hz です。

各部の波形

図 (3) 発振出力とコンデンサ電圧

図 (3) は、発振出力 (O 点) とコンデンサ電圧 (A 点) です。

周期 0.45ms 、デューティー比は 27% です。

VP は 1.8V 、VN は 1.0V ぐらいになっています。
コンデンサの充電は、1.0V から 5V に向かうので速いです。でも放電は、1.8V から 0V へ向かうので遅い。だから、デューティー比がちいさくなるわけ。

波形はとてもきれいです。立ち上がりも 6ns と、とっても速いです。

発振周波数を変えてみた

R1C1周期
1MΩ10μF8.2s
470KΩ10μF3.8s
100KΩ10μF800ms
47KΩ10μF370ms
10KΩ10μF78ms
4.7KΩ10μF36ms
4.7KΩ1μF3.6ms
4.7KΩ0.1μF0.45ms
4.7KΩ0.01μF42μs
4.7KΩ1000pF3.7μs
4.7KΩ100pF0.45μs
1KΩ100pF0.13μs
470Ω100pF73ns
表 (1) RC値と発振周期

表 (1) は、抵抗 R1 とコンデンサ C1 の値を変化させたときの発振周期を調べたものです。

C1 をもっと小さくすると、まだまだ周期を短くできます。が、このあたりになると、オシロスコープのプローブの静電容量なんかも影響してくるそうなので、まぁなんとも微妙です。
それに、シュミットトリガインバータの入力容量が 10pF あるので、その影響も大きくなってきます。

周期 73ns というと、周波数にすると 14MHz あたり。この発振回路で、そんな高い周波数を出す意味が、あるんですかね?

ちなみに、発振周期は、シュミットトリガインバータのしきい値のばらつきで変化します。個体差が大きいらしいので、抵抗やコンデンサの精度を気にするのも、あまり意味がないようです。

とっても簡単な発振回路

ってことで、今回はシュミットトリガインバータを使った矩形波発振回路を試してみました。

シュミットトリガインバータ 1 個で、とっても簡単にできちゃうので、ちょこっとパルスがほしい、ってときに便利ですね。波形もあんがいきれいだし、けっこう高い周波数もだせるし。重宝しそう。

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