アフィリエイト広告
アフィリエイト広告

三角波発振回路

以前、オペアンプを使った矩形波発振回路を実験してみました。

オペアンプを使った矩形波発振回路
2023.6.9内容を新しくした記事を投稿しました。こちらも併せてご覧ください。 いつかオシロスコープを買ったら、やりたいと思っていたことがあります。 発振回路を作ってみたい (^_^;) その夢が叶いましたので、発振回路を作って波形を観察...

今回は、この回路を拡張した三角波発振回路を作ってみようと思います。

三角波は、矩形波を積分することで作ることができます。
オペアンプで作った矩形波を、積分回路に通すことで三角波になるわけですが、あれ?ちょっと待てよ。矩形波を作るときに CR 回路で三角波を作っていますので、積分回路から出てきた三角波を戻してやれば、矩形波を作ることができるんじゃね? グルグル回る無限機関のような (^_^;)

なんてことを考えていたら、やっぱりね、ググるとそんな回路がでてきました。

オペアンプを使った三角波発振回路

図 (1) 三角波発振回路

図 (1) が、実験した三角波発振回路です。

今回も、ググると出てくる回路と少しだけ違っていますが、基本は同じ構造をしています。

オペアンプ U1 はコンパレータ回路。
発生した三角波と基準電圧を比較し、矩形波を出力しています。

オペアンプ U2 が積分回路です。

R4 、R5 は基準電圧の分圧回路。C2 はノイズ除去用。R6 、R7 はオペアンプの出力負荷です。

基準電圧、出力電圧

ググって参考にさせていただいたいくつかの回路では、抵抗の定数などがいまいちよくわかりませんでした。そこで、自分なりに決めていくことにします。

オペアンプは、汎用オペアンプの LM324 を使います。
矩形波発振回路のときにも使ったこのオペアンプの出力電圧は、HIGH が 3.5V 、LOW が 0.5V として考えておけば良いかな、という感じ。つまり、矩形波の振幅が最大電圧 VHsqu = 3.5V 、最低電圧 VLsqu = 0.5V ということです。
したがって、基準電圧 Vref は、その中間の 2.0V となります。
三角波の振幅は、矩形波の振幅より小さくなりますから、最大電圧 VHtri = 3.0V 、最小電圧 VLtri = 1.0V としておきましょう。これが、ヒステリシス幅となります。

ということで、基準電圧の分圧回路。

基準電圧 Vref = 2.0V 、電源電圧 VCC = 5.0V とすると、

R5 : R4 = (VCC - Vref) : Vref
        = (5.0 - 2.0) : 2.0 = 3 : 2

R4 を 10KΩ とすると R5 は 15KΩ になりますね。
分圧回路に流れる電流は、

Iref = VCC / (R4 + R5)
    = 5.0 / (10 + 15) = 0.2mA

オペアンプの入力バイアス電流は 250nA なので、十分でしょう。

コンパレータ回路

まず、帰還抵抗 R2 です。

オペアンプの入力バイアス電流が 250nA ですので、R2 には 25μA 以上の電流を流すようにします。
オペアンプの出力 V2 が VLsqu = 0.5V のとき、

R2 = (Vref - VLsqu) / IR2
   = (2.0 - 0.5) / 25μA = 60KΩ

また、V2 が VHsqu = 3.5V のとき、

R2 = (VHsqu - Vref) / IR2
   = (3.5 - 2.0) / 25μA = 60KΩ

したがって、R2 は 47KΩ とします。

つぎに、三角波信号入力の抵抗 R1 。

V2 が VLsqu = 0.5V のとき、三角波は上昇していきますので、

R1 = (VHtri - Vref) × R2 / (Vref - VLsqu)
   = (3.0 - 2.0) × 47KΩ / (2.0 - 0.5) = 31KΩ

また、V2 が VHsqu = 3.5V のとき、三角波は下降していきますので、

R1 = (Vref - VLtri) × R2 / (VHsqu - Vref)
   = (2.0 - 1.0) × 47KΩ / (3.5 - 2.0) = 31KΩ

したがって、R1 は 33KΩ とします。

積分回路

考えることは、特に、ないです。難しい積分の計算は、しません (^_^;)

R3 と C1 がいわゆる RC 回路で、発振周期 T は、

T = 4 C1R3 (R1/R2)
  = 4 × 0.1μF × 4.7KΩ × (33KΩ / 47KΩ) = 1.32ms

周波数にすると、約 760Hz です。

各部の波形

では、各部の波形を確認していきましょう。

矩形波、三角波の出力波形

図 (2) 出力波形

図 (2) は、矩形波と三角波の出力波形です。

上 (黄色) が矩形波 V2 点、下 (青色) が三角波 V4 点です。

電源電圧は 5.2V でした。
周期は 1.75ms 。
矩形波の振幅は 3.85V ~ 0.64V 、デューティー比は 51% です。
三角波の振幅は 3.44V ~ 1.13V 。

だいたい、計算通りになりましたね。

コンパレータの入出力波形

図 (3) コンパレータ入出力波形

図 (3) 下 (青色) はコンパレータの入力 V1 点、上 (黄色) が出力 V2 点の波形です。

コンパレータの出力 V2 点が LOW のとき、コンデンサ C1 は放電。
V3 点の電圧は Vref で一定なので、三角波出力 V4 点の電圧が上昇していきます。
V1 点の電圧も上昇していき、Vref に達すると、V2 点が HIGH になります。

V2 点が HIGH になると、C1 が充電され、V4 点の電圧が下がっていきます。
V1 点の電圧も下がり、Vref に達すると、V2 点が LOW に変わります。

これを繰返して、矩形波と三角波を発振することになります。

出力の負荷抵抗の働き

図 (4) 異常波形の改善

図 (4) は、オペアンプの負荷抵抗 R6 、R7 がないときの波形です。

左は、矩形波 V2 点の立ち上がり部。
以前、矩形波発振回路のときにもありましたが、波形の立ち上がり部に踊り場のような段ができます。
立ち下がり部にも同様の段ができています。

右は、三角波 V4 点の波形です。最大値、最小値でヒゲが見えていますが、上昇から下降、下降から上昇へ転ずるときに振動が起きているためです。

これらの波形の異常は、R6 、R7 を付けて、オペアンプに出力電流を流してやることで改善しました。

発振周波数を変えてみる

R3R1R2C1周期
470KΩ33KΩ47KΩ10μF13s
100KΩ33KΩ47KΩ10μF2.7s
47KΩ33KΩ47KΩ10μF1.3s
10KΩ33KΩ47KΩ10μF0.27s
4.7KΩ33KΩ47KΩ10μF0.13s
4.7KΩ33KΩ47KΩ1μF12ms
4.7KΩ33KΩ47KΩ0.1μF1.8ms
4.7KΩ33KΩ47KΩ0.01μF0.18ms
4.7KΩ22KΩ47KΩ4700pF0.068ms
表 (1) RC値と発振周期

表 (1) は、抵抗 R3 とコンデンサ C1 の値を変化させたときの発振周期です。

C1 4700pF で、波形が潰れてきました。R1 を小さくすることで、改善できましたが、このあたりが限界のようです。

きれいな三角波発振

CR 回路で作るような擬似的な三角波ではなくて、きれいな直線の三角波を作ることができました。
オペアンプのスルーレートのために、高い周波数は出力できませんが、それでも 10KHz ぐらいは簡単に発振できそうです。

ただし、矩形波の振幅と三角波の振幅を、きちんと想定して定数を決めないと、この回路は発振しません。まぁ定数の計算と言っても、基本は抵抗の分圧計算ですので、難しくはないです。

LM324 にはオペアンプが 4 個入っていますので、もう一つ使って、PWM 波を作ることも、簡単にできますね。
これも、重宝しそうな発振回路でした。

タイトルとURLをコピーしました