前回は、ネットワークカメラ Wansview 1080p W6 のセットアップを行ないました。
今回は、ネットワークカメラを接続するための VLAN 構成について書こうと思いま… 思っていました。が。
なんだか映像がおかしいんですよぉ。
iSpy で映像を見ていると、未接続になったり、時計が 2 秒おきに進んだり。動体検知して保存された録画の、歩いている人が瞬間移動したり (；´Д｀) VLC メディアプレーヤーでも同様の現象が発生しています。
しかし、スマートホンの Wansview Cloud アプリケーションでは問題なく表示されているようです。
さて、どうもこれは RTSP 配信に異常がでているのではないかと。
カメラの出力を確認してみる
カメラの出力をパケットキャプチャしてみました。
Wansview Cloud の場合。
同じセグメントにあるスマートホンに、カメラから UTP パケットが直接、どんどん送られていきます。その制御は、たぶんクラウドを通して行なわれているのだと思います。
いわゆる独自システムで、まぁこれがまともに動かないようであれば商品としてまったく問題外なわけで、ちゃんと動いて当たり前、です。
一方、iSpy や VLC では、RTSP が使われています。
RTSP に関して俺はほとんど知識がありません。が、パケットキャプチャデータを見ていると、TCP で RTSP のネゴシエーションを行なってから、カメラは RTP でデータを送り、パソコンからは ACK を返すというやりとりを繰り返していることがわかります。
ところが、かなり頻繁に RTP パケットが止まります。パケットが届かないと、パソコン側から TEARDOWN され、カメラとの接続が切れてしまいます。
パソコンは改めて SYN を送り、RTSP の接続を行ないますが、カメラから RTP パケットが送られてこなかったり、送られてもまたすぐに切れてしまったり。
いろいろ設定を変えてみたりもしました。でも改善しません。
設置環境を変更してみる
カメラは家の外壁に取付け、裏庭を撮影しています。LAN ケーブルは CAT6A で、HUB からの長さは 15m 。配線は天井裏を通り、カメラの取り付け位置で外に出ています。
ちなみに、WiFi アンテナを取付けてありますが、使っていません。飾りっつーか、付けておかないとコネクタの防水ができないかなぁってことです。
IP66 ということになっていますが、実際どうなんでしょうねぇ。
閑話休題。
ほとんどのネットワークカメラのイーサネットは 100BASE-T です。なので、ケーブルは CAT5e で十分です。CAT6A を使っているのは、ノイズや減衰に対して条件がより良いだろうってことで、最近は meyon 家ネットワークの標準にしているから。
15m が長過ぎる、なんてゆー馬鹿げたこともないだろうと思うんですが、10m のケーブルを仮設してみたり、WiFi 接続で試してみたりもしました。でも、改善しません。
伝送路の問題ではないと思うんです。設置場所の問題かもしれない。
それでも物は試し、ケーブルを CAT5e の STP に交換してみました。もちろん、シールドは両端で接地します。これは基本です。
HUB 側は、昔使っていた電話の保安器がすぐ近くにあったので、その接地を引き込んでいます。
カメラ側は新たに接地工事を行ないました。といってもまぁ、30cm ほどの接地棒を 50~60cm の深さに打ち込んだだけなんで、そんなもので効くかっ、と言われるとモジモジするしかないんですケド (^_^;)
カメラ本体に接地端子はありませんが、取付けネジのところに丸型圧着端子を挟み込んで接地しました。ちなみに、カメラのケースは、DC 電源のマイナス側につながっています。
外壁のトタン板も、接地しました。
そこまでやってみましたが、改善しません。改善の兆しすらありません。
Wireshark による入出力グラフ
参考までに、Wireshark でキャプチャしたカメラからの出力グラフを載せておきましょう。
このグラフのスタート時刻は 04:33 です。
夜間は暗視モードで白黒画像になっています。そのときの出力は毎秒 20~60 パケットほどで、ここでは映像は正常に出力されています。
夜が明けて明るくなってくると、出力は毎秒 20~90 パケットほどに増えていきます。
05:25 あたりで暗視モードが終了し、白黒からカラー画像に切り替わっています。とたんに出力が 0~150 パケットに変化し、映像に問題が発生します。
グラフのデータインターバルは 1 秒ですから、パケットが 0 ということは少なくとも 1 秒間はパケットが届かなかった、ということ。映像がコマ送りになっている状態です。
しかも、最大値が 70~180 パケットと不安定です。動きのない裏庭のようすを撮影しているので、本来ならパケットの変化は少ないはずです。
06:20 頃と 06:35 過ぎには一時的にパケットがなくなっています。ここは接続が完全に切れてしまっている状態です。
続きを見てみましょう。
状況に変わりはありませんね。日中はずっとこんな感じで、パケット停止と切断を繰り返しています。
こうした状況のときも、Wansview Cloud アプリケーションでは正常に表示されています。クラウドを使う限りは問題はない、ということです。
夕方になっても、不安定な状況はずっと続いています。
18:20 頃からちょっとの間ですが、なぜか (^_^;) 正常になってますね。毎秒 20~100 パケットが安定して出力されています。ここは映像が正常に表示されています。本来あるべき姿です。
18:25 頃に暗視モードになり、白黒画像に切り替わりました。
ところが出力は毎秒 0~40 パケットと、パケット切れの状態です。映像の FPS 表示は 0.5 のままで、変化しなくなってしまいました。どうやら RTP がハングアップしてしまっているような感じです。
21:45 に iSpy から手動で再接続したところ、正常に戻りました。このあと、朝まで暗視モードで正常に撮影していますが、夜が明けるとまた同じことの繰り返しとなります。
サポートが新しいカメラを送ってきたが
メーカーのサポートへメールを出して相談してみましたが、特筆するような、技術的な、アドバイスは全く得られませんでした。「お詫び」と称して新しいカメラを送ってくれましたが、カメラを交換しても症状はまったく変化しませんでした。
このカメラの RTSP 配信機能は、この程度の性能だ、ってことでしょうか (；´Д｀)
返却不要とのことなのですが、iSpy で使えないカメラが 2 台になったという悲しいオチで、終了です。
対応策はカメラメーカーの変更
なにかねぇ、対応策はないものかと、ググリング。結果見つけたのが以下のサイトです。
ドンピシャじゃぁないですか (^_^;)
で、コメントの中で紹介されている reddit の記事がすべてを物語っています。
この記事のコメントにある以下の内容が、すべてをガッテンさせてくれました。
There is little economic incentive for vendors to make products that are standards based and interoperable with systems from other vendors. Easier and cheaper for them to use proprietary systems, and they are also incentivized to lock you into their own ecosystem. This is true for many technology areas unfortunately.
標準ベースで他のベンダーのシステムと相互運用可能な製品をベンダーが作成する経済的インセンティブはほとんどありません。 彼らが独自のシステムを使用するのがより簡単で安価であり、彼らはまたあなたを彼ら自身のエコシステムに閉じ込めるように動機づけられています。 残念ながら、これは多くの技術分野に当てはまります。(Google 翻訳による)
つまり、そーゆーことです。また、その他のコメントも興味深いものでした。
【結論】IP カメラ Wansview 1080p W6 の RTSP 配信は、非常に不安定で、iSpy や VLC での使用に耐えない。ただし、専用アプリケーションを使用する限りは問題がない。
【対応策】RTSP 配信に実績のあるメーカーのカメラに交換すべし。