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オペアンプを使ったアクティブフィルタを計算してみた

パッシブフィルタのおさらいができたので、次はアクティブフィルタの伝達関数などを計算してみたいと思います。オペアンプを使ったアクティブフィルタには、バタワースとかベッセルとか、いろいろな回路形式があるようですが、ここではごく単純な反転増幅回路による 1 次フィルタを考えていきましょう。

パッシブフィルタの伝達関数などについては、以下の記事を参照ください。

ローパスフィルタ

図1. オペアンプを使ったローパスフィルタ

図1. はオペアンプを使ったローパスフィルタです。

この回路は、反転増幅回路のフィードバック抵抗 R2 に並列にコンデンサ C を入れたものです。そのため、信号の周波数が高いほどフィードバックが多くなり増幅率が小さくなる、という特性があります。
信号の周波数が低い領域ではコンデンサ C のリアクタンスがとても大きくなるので、普通の反転増幅器のように動作します。

伝達関数

入力電圧を VIN 、入力インピーダンスを Z1 、負帰還回路のインピーダンスを Z2 とすると、出力電圧 VOUT は、

です。符号のマイナスは、出力電圧が反転していることを表しています。
Z1Z2 はそれぞれ、

なので、伝達関数 G() は次のように表されます。

抵抗の値を同じ R1=R2 にすればパッシブフィルタのローパスフィルタと同じ式になりますね。ただし、反転増幅回路があるために出力信号は反転しています。

ゲイン

伝達関数 G() の絶対値 |G()| は、この回路のゲイン (増幅率) を表します。

これをデシベル dB で表すと、

これは、反転増幅回路のゲインに、ローパスフィルタのゲインを加えたものと考えられます。ここでも、R1=R2 ならばパッシブフィルタのローパスフィルタのゲインと同じ式になりますね。つまり、-20dB/dec、周波数が 10倍になると出力電圧は 1/10 倍になることを表しています。

カットオフ周波数

抵抗 R2 とコンデンサのリアクタンス XC の大きさとが等しくなる周波数がカットオフ周波数です。

なので、カットオフ周波数 f は、

このときのゲイン GV は、

カットオフ周波数では反転増幅器のゲインより 3dB 減衰している、ということです。

位相

出力電圧の位相を求めるために、伝達関数 G() を複素数で表します。

したがって、位相角 θ は 、

周波数が低いとき ωCR2 は小さくなり θ は 180° に、周波数が高くなると ωCR2 が大きくなるので θ は 90° に近づいていくことがわかります。カットオフ周波数では ωCR2=1 なので、θ =135° です。これは、45° 遅れた出力電圧が反転している、とみることができます。

ハイパスフィルタ

図2. オペアンプを使ったハイパスフィルタ

図2. はオペアンプを使ったハイパスフィルタです。

この回路は、反転増幅回路の入力抵抗 R1 に直列にコンデンサ C を入れたものです。そのため、信号の周波数が低いほど入力信号電圧が減衰する、という特性があります。
信号の周波数が高い領域ではコンデンサ C のリアクタンスが小さくなるので、普通の反転増幅器のように動作します。

伝達関数

入力電圧を VIN 、入力インピーダンスを Z1 、負帰還回路のインピーダンスを Z2 とすると、出力電圧 VOUT は、

です。符号のマイナスは、出力電圧が反転していることを表しています。
Z1Z2 はそれぞれ、

なので、伝達関数 G() は次のように表されます。

抵抗の値を同じ R1=R2 にすればパッシブフィルタのハイパスフィルタのゲインと同じ式になりますが、反転増幅回路なので出力信号は反転しています。

ゲイン

伝達関数 G() の絶対値 |G()| は、この回路のゲイン (増幅率) を表します。

これをデシベル dB で表すと、

これは、反転増幅回路のゲインに、ハイパスフィルタのゲインを加えたものと考えられます。ここでも、R1=R2 ならばパッシブフィルタのハイパスフィルタのゲインと同じ式になり、20dB/dec つまり周波数が 10 倍になると出力電圧も 10 倍になることを表しています。

カットオフ周波数

抵抗 R1 とコンデンサのリアクタンス XC の大きさとが等しくなる周波数がカットオフ周波数です。

なので、カットオフ周波数 f は、

このときのゲイン GV は、

カットオフ周波数では反転増幅器のゲインより 3dB 減衰しています。

位相

出力電圧の位相を求めるために、伝達関数 G() を複素数で表します。

したがって、位相角 θ は、

周波数が低いとき ωCR1 は小さくなり θ は 270° に、周波数が高くなると ωCR1 が大きくなるので θ は 180° に近づいていくことがわかります。カットオフ周波数では ωCR1=1 なので、θ =225° です。これは、45° 進んだ出力電圧が反転している、とみることができます。

後記

今回は、オペアンプを使った 1 次フィルター回路の伝達関数などを調べてみました。

うーん、パッシブフィルタと何が違うん?反転増幅回路があるだけで、フィルタの特性などはパッシブフィルタと変わりありませんでした。やっぱりアクティブフィルタは、バタワースとかベッセルとかいう高次のフィルタを考えるべきなのでしょうか。それこそがアクティブフィルタの姿なのかもしれません。

でも、これまで増幅回路を扱ったときにあったような負帰還回路のコンデンサとか入力のカップリングコンデンサとか、それらがどんな働きをするのかといったことをあらためて確認できるように思います。それから、たとえばオペアンプの入力容量が位相にどんな影響を与えるか、それを補償するにはどうするかなど、そんなことを理解するにも役立つように思えました。

さて、難しい式はこれくらいにして、やっぱり実際に回路組んで感じてみましょう。

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