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直流安定化電源 IC-3PA を修理する

昔々、IC-20 とか IC-60 といった車載用無線機がありました。車載用なので電源電圧は 13.8V です。当時は、移動局が簡単に利用できる電源といえば車のバッテリーでしたので、移動用無線機の電源電圧は 13.8V が一般的でした。俺がいま使っているトランシーバ IC-2Nも、標準は乾電池 6本 (9V) ですが、外部電源用 DC-DC コンバータの入力電圧は 13.8V です。

直流安定化電源 IC-3PA
写真1. 直流安定化電源 IC-3PA

IC-3PA は、車載用無線機を基地局で使用するための直流安定化電源装置で、出力は 13.8V 3A。正面にはスピーカーがついています。筐体の幅が IC-20 などと同じなので、この電源装置の上に本体を載せて設置することができました。俺も IC-60 をこの上に載せて運用していた時期がありました。

そんな IC-3PA が押入れの奥からでてきましたので、使えるようなら IC-2N の電源として復活させようと思います。

とりあえず電源を入れてみる

IC-3PA 内部のようす
写真2. IC-3PA 内部のようす

カバーを開けて中を目視点検、さっと掃除。
特に異常なさそうなので電源入れてみると、POWER ランプが点灯し、動きました。出力電圧は無負荷で 14.0V。IC-2N をつなぐと 13.7V で、正常に稼働できます。
直流出力時の NORMAL ランプが点灯しません。ランプはちいさな豆電球なので、たぶん切れているのでしょう。

で、電源を切ってもう一度入れ直すと WARNING ランプが点灯、動作しなくなりました。しばらく待って入れ直すと、たまに動作することもあるけど、ほぼ WARNING になってしまう。動作すれば問題ないみたいですが、動くかどうかは運次第。
電源オン時に保護回路が誤動作している、といった症状のようです。

回路図を起こす

では、回路図を起こして不具合の原因を探っていきましょう。
回路は、古典的な全波整流回路とトランジスタによる安定化回路です。プリント基板は取り外さないといけないので、まだ調べていません。けど、古いので下手に触ると動かなくなるかも、です。

IC-3PA 回路図
図1. IC-3PA 回路図

電流表示の CURRENT ランプは、シャント抵抗の両端電圧で豆電球の輝度を変化させてるんですね、なるほど。
電源は電圧切替器で 230V まで対応できます。海外向け仕様でしょう。こういう回路は電源が 100V でも内部に 230V が発生するので要注意です。二次側は 19V で、POWER ランプを点灯させます。整流ダイオードに並列に入っているコンデンサはノイズ除去用です。全波整流後の直流電圧は 26.8V でした。WARNING ランプはここの電圧で点灯させていて、制御用のプリント基板出力はたぶんオープンコレクタでしょう。

出力トランジスタ
写真3. 出力トランジスタ

出力トランジスタは ED260 ですが、ビンテージ品で仕様がわかりません。回路図は NPN で描いていますが、PNP かもしれません。プリント基板内をみればわかると思います。
直流出力電圧で NORMAL ランプが点灯するはずですが、ランプに導通がなく点灯しませんでした。こいつは LED に換えればいいですね。そのうち気が向いたらやります。

出力に逆流防止ダイオードがついています。たぶんね、車用バッテリーつないで無停電化したりする人がいたんでしょうね。でも、バッテリーの充電に使うのはお勧めしません。

で、です。電源スイッチにプリント基板からの線がつながっていますが、なんでしょ?これ?
ここには電源オン時に 2.4V がかかっていて、B 接点ですからオフ時に 0V になる、はず。いや、なってない、電圧が残ってる。スイッチが接触不良で 0V にならない。こいつは怪しいです。
試しに、電源オフでこのラインをグランドに落として、電源をオンする直前に浮かしてみました。すると 、WARNING にはならず、正常に起動します。グランドに落とさないまま電源オンすると WARNING です。なお、電源オン時にグランドに落とすのはイレギュラーですから、やめておきましょう。壊してしまっては元も子もありません。

どうやら不具合の原因は、このスイッチの接触不良のようです。

スイッチを復活させる

電源スイッチを外す
写真4. 電源スイッチを外す

電源スイッチは 2 回路 C 接点のロッカースイッチです。本体部分の大きさが同じスイッチは手に入りそうです。シーソー部分が少し大きいので穴を加工しないといけないようですが、なんとかなるでしょう。

でもその前に。とりあえずスイッチの隙間から接点に向けて接点復活剤を入れてみましょう。昔はこんなスイッチも分解して直していたから、構造はだいたいわかります。良い方法ではありませんが、復活すれば儲けもの。

電源スイッチを取り外してみると、線噛みを発見 (写真4 赤丸)。シャーシアースするラインなので、問題にならなかったようです。この電線は交換しました。

修理完了
写真5. 修理完了

接点復活剤を少しだけ注入しスイッチの入切を繰り返すと、導通が戻りました。
スイッチを取り付け動作テスト。結果、正常です。電源スイッチを入れ直しても WARNING にはなりません。

この回路がどういう働きをするのか、定かではありません。が、動作中に停電し、すぐに復電すると WARNING になります。コンセントに挿すときはスイッチを切っておいてね、って感じですか。これもプリント基板の回路を調べればわかるかもしれません。

が、今回はこれで修理完了としましょう。

後記

今回は、押し入れに眠っていた直流安定化電源 IC-3PA の不具合を修理しました。

予想していたより簡単に直ったのでよかった。コンデンサとか気になる部分はありますが、具合悪くなったらまた直します。
トランシーバ IC-2N の電源装置として利用しようと思います。いまさらこんな古い機器を使うなんて、効率も悪いし安全性にも問題あります。IC-2N にしてもそうですが、昔、思うようにできなかった趣味への年寄りのノスタルジーです。つねに点検しながら、安全に留意して運用していきましょう。

さて、押入れの奥を探したらもっと何かでてこないかな。断捨離を兼ねて整理してみましょうか、ねぇ。

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