台風10号が北上してきています。今週末に石川県を通過するという進路予報で、西へずれても東へ行っても影響は避けられそうにない雰囲気です。
台風への備え
1.8m のマスト (E25 ねじなし電線管) に取り付けてある垂直ダイポールアンテナ (写真 1) ですが、マストにはステーもなく、ちょっと風には弱そうだなぁと思っています。
とりあえず台風への備えとして、アンテナを下の方へおろしてマストにかかる荷重が減るようにしておきました。大きなアンテナでもないので、問題はないでしょう。
VSWR が上昇し受信感度も落ちていますが、台風が過ぎるまでの対策です。
風圧による応力の計算
ものすごくおおざっぱですが、風によってマストにかかる応力を計算してみました。
まず、アンテナと張り出しパイプの投影面積を求めます。この面積に風があたるものと考えます。
エレメント 0.012 x 0.98 = 0.012 [m2]
ボックス 0.1 x 0.08 = 0.008 [m2]
張り出しパイプ 0.026 x 1.0 = 0.026 [m2]
計 0.046 [m2]
同様に、マストの投影面積です。マストは E25 で外径が 25.4[mm] です。
マスト 0.0254 x 1.8 = 0.046 [m2]
面積の算出にかぶっている部分などがありますが、安全側なので気にしないでおきましょ。
風圧の計算は「風速と風圧計算」を利用させていただきました。ありがとうございます。
風速を 25[m/s] とすると、アンテナ部分の 0.046[m2] にかかる風圧は 1.8[Kg] で、これをマストの先端にかかる荷重とします。実際にはねじれがかかるのですが、そこは考えないことにします。マストにかかる風圧も 1.8[Kg] です。こちらは等分布荷重ですが、マストの先端に 0.9[Kg] の集中荷重がかかるものとします。固定端のモーメントとしては、中央に 1.8[Kg] かけるのと同じです。
つまり、アンテナマストの先端に 2.7[Kg] の集中荷重がかかる片持ち梁と考えて応力を計算します。
応力の計算は「梁のたわみと応力計算ツール」を利用させていただきました。ありがとうございます。
マストの断面は円筒で、外径 25.4[mm]、内径 23[mm]、材質は鉄でいいでしょう。長さが 1800[mm]、荷重は 2.7[Kg] x 9.8 = 26.46 [N] です。以上を入力して計算すると、最大応力は 90.347[MPa] となりました。なお、この計算値は水平の片持ち梁の場合で、自重によるモーメントを含んでいますが、安全側なので無視します。
新しい単位はどうも慣れないですねぇ。90.347[MPa] = 90.347[N/mm2] / 9.8 = 921.9[Kg/cm2] です。鋼材の許容応力を 100[N/mm2] ≒ 1000[Kg/cm2] とすると、風速 25[m/s] では問題なさそうです。
後記
今回は、風圧によるアンテナマストの強度を計算してみました。毎度の俺的テキトーな計算ですが、結果は「風速 25m/s までなら大丈夫かもね」ということになりました。
石川県金沢市の日最大風速 (10分間平均値) は 32.8[m/s] (1950年)、瞬間最大風速 (3秒間平均値) は 44.3[m/s] (2018年) らしいです。瞬間最大風速での最大応力は 281.08[N/mm2] なのでマストが破断するようなことはないでしょうが、強い風に繰り返しあおられると曲がってしまうかも、です。
やっぱり強風に備えて、ステーを張ることを考えたほうがよさそうですねぇ。
(2024.08.30 追記)
「建築と土木の鋼材の許容応力度の違いについて教えて?」によると、建築鋼材の短期 (暴風時、地震時) の許容応力は 235[N/mm2] とのことです。参考にさせていただきました。ありがとうございます。
ということで、風速 40[m/s] で最大応力が 231[N/mm2] になるので、このあたりを限界と考えてもよいかも、です。ただし、これはあくまでも俺のテキトーな計算ですので、結果を保証するものではありません。あしからず。