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144MHz帯 垂直ダイポールアンテナ / 給電部の改修

2024年6月に設置した 144MHz 帯垂直ダイポールアンテナですが、冬を越し、黄砂の声を聞くようになって突然、VSWR が 2 を超えてしまいました。
そこで、一旦取り外して各部を確認したのですが、特に異常はみあたりません。なんでしょう? まぁとにかく取り外したついでに、以前から気になっていた給電部を改修して再調整することにしました。

ここに至るまでのさまざまな試行錯誤は、次の記事あたりからの一連を参照してください。

給電部の改修

図 1. 給電部
図 1. 給電部

図 1 が、改修後の給電部のようすです。
給電点に銅張基板で端子板を作り、これにインピーダンス整合用のコンデンサとコイルを取り付けることにしました。

同軸ケーブルもコネクタをやめて圧着端子で接続しています。で、一般に圧着部にはハンダを流し込んではいけないというので迷ったんですが、最終的にはハンダ付けしています。

コイルは直径 6mm 1T で、実測値 7.2nH です。長さ 2cm の 1.5D-2V が出ていますが 2pF のコンデンサとして利用しています。写真ではわかりにくいのですが、そのうしろにセラミックコンデンサ 10pF をつけてあり、合わせて 12pF になっています。

フロートバランはフェライトコア ZCAT1518-0730 のままです。ただし、ピグテールが同軸ケーブル RG-58A/U なので巻き数は 1T にしました。フェライトコアがないと周辺の影響をかなり受けますが、これを入れるだけでけっこう安定します。
ピグテールは長さ 0.66m で、先端に BNC コネクタを取り付けてあります。0.66m という長さに特別な意味はありません。当初 0.69m (λ/2 相当) だったのですが、色々やっているうちにそんな長さになったという…

これまではマストに向かって右側にアンテナエレメントを配置していたのですが、これを左側に変更したため、ピグテールの取り出し位置を右に変更しました。マストにより指向性に偏りがでるかもしれないと思ってのことですが、どの程度影響があるか定かではありません。使用感にも大きな差異はありませんが、左方向の相手局が強くなったような… まぁ、気分です。

エレメントの長さはこれまでどおり 0.98m です。この長さはアンテナ解析ソフト MMANA で算定したものですが、共振周波数を実測するともう少し短くなるような感じもします。しかし、共振周波数の測定はどうにも不安定です。どのみちインピーダンス整合を行なうのですから、エレメントの長さは λ/2 より短くならないようにしておきます。

室内での仮調整

図 2. 室内での仮調整後の測定値
図 2. 室内での仮調整後の測定値

インピーダンス整合回路として、エレメントに並列コンデンサ 12pF、直列コイル 7.2nH を取り付けました。

テスト用の同軸ケーブル RG-58A/U を接続して、給電部までの長さは 5.4m です。ここに NanoVNA を接続し、E-delay 54ns として測定しました。
結果は図 2 のとおり、給電点インピーダンス 49.1-j0.841Ω、VSWR 1.02 となりましたので、室内での仮調整は完了とします。

ちなみに、測定条件が少し違っているのですが、整合素子なしで給電点インピーダンスを測定すると 92.0-j8.8Ω でした。この値から 50Ω に整合させる計算をすると、並列コンデンサ 9.8pF、直列コイル 51nH となります。コンデンサの値は近いですが、コイルは全く異なります。計算と実際は違いますね。

調整は、まず並列コンデンサを接続してレジスタンスを 50Ω に近づけます。次にリアクタンスが j0Ω に近づくように直列コイルを調整します。相互に影響し合いますが、並列コンデンサでレジスタンスを、直列コイルでリアクタンスを調整するというぐあいです。スミスチャート上でマーカーを移動させる手順と同じですね。

屋外設置後の測定値

改修、再調整した垂直ダイポールアンテナを屋外のマストに取り付けました。

同軸ケーブルは 5D-2V です。アンテナのピグテール RG-58A/U に BNC 中継コネクタで接続しますが、まぁこのあたりの信頼性は、ちょっと、低いです。給電部に直接接続するのがベストなんでしょうね。コネクタ部に自己融着テープを巻き、さらにビニルテープを巻いて防水しました。
ケーブルの全長は 19.5m です。NanoVNA での長さ測定ですので誤差を含むと思いますが、ラフにいきましょう。

図 3. 屋外設置後の測定値
図 3. 屋外設置後の測定値

送信機端で測定するため E-delay は 195ns に設定しました。結果は図 3 のとおり、給電点インピーダンス 46.7-j5.75Ω、VSWR 1.14 でした。
これまでも室内から屋外へ出したとき容量性へ傾く印象がありますが、変化は以前より小さくなっているような気がします。詳しく比較してないのでなんとも言えませんが、やっぱり給電部の構造は大事なんだろうなぁ、と。

次はインピーダンス整合回路の調整を行ないますが、屋根上での作業が増えてきますので、空模様をみながら少しずつやっていきましょう。
なお、調整は上にも書きましたが、コンデンサを小さくしてレジスタンスを 50Ω に、コイルを大きくしてリアクアンスを j0Ω にするという方向です。どれほど増減するかは、やってみてのお楽しみ。

後記

今回は、約 1 年間使用した144MHz 帯垂直ダイポールアンテナの給電部の改修を行ないました。
上昇していた VSWR は正常値に下がりましたが、他に何かが変わったかというと、何もないです。さらにインピーダンス整合回路の調整をする予定ですが、大きな変化はないでしょう。

でも 1 年間やってみて、インピーダンス整合や測定、調整などなどたくさん学んだ気がします。そうそう、マストの取付板の塗装が剥がれて錆が出てるんで、もうちょっとしっかり塗装しないといけないです。それから、機械的な強度とか構造とか防水とか、考えないといけないことはまだまだありそう。
そんなノウハウが、次のアンテナ製作につながっていけば楽しいなと思っています。

  ※

屋外設置から 10 日過ぎた後日談です。
今回、給電部に端子版を取り付けました。その後毎日アンテナの状態を NanoVNA で測定しているのですが、非常に安定しています。これまでは測定するたびにインピーダンスが変化していましたが、それがなくなった。雨の日も風の日もほとんど変化しません。少しずつ調整をしているのですが、調整するとその結果がきちんと現れ、変化した状態はそのまま安定します。
これが給電部を改修した結果、だとしたら、この構造をきちんとつくることは大切なこと、なのでしょう。

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