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LED バーライトの調光器を作る

LED バーライト

昨年の秋に、楽天市場で買った LED バーライトです。
電源は DC5V、USB コネクタから給電します。ランプは昼光色と電灯色の 2 系統で、それぞれスイッチでオンオフできます。
けっこう明るくていいのですが、明るすぎて眩しいことも。なので、調光器を作ってみましょう。

なお、LED バーライトの内部回路を確認していないので、以下の回路や使い方では問題が生じる可能性があります。真似してみようって人は、自己責任でお願いします。

以下、いろいろ計算なんかしてますけど、だいたいこのぐらい、って感じのいい加減な計算ですので、ご注意下さい。

回路図

ボリュームで明るさを調整できればよいので、Arduino は使いません。これまでにも利用した PWM 発生回路を使って、MOSFET で駆動することにします。

PWM 発生部

何度か使っている PWM 発生回路です。詳細は以下の記事でどうぞ。

25KHz の PWM 信号で CPU ファンモータを回す
突然ですが、25KHz の PWM 信号を作りたいです。 2 年ほど前に、CPU ファンモータの回転数制御するために、Arduino で 25KHz の PWM 信号を出力したことがありました。 これは、Arduino の内部タイマを利用し...

Q1、Q2 は定電流回路です。コンデンサ C1 を定電流で充電し、コンパレータ U1 により、基準電圧を超えたら Q3 をオンして放電させることで、三角波 (のこぎり波) を発振します。発振周波数は 25KHz です。
三角波をコンパレータ U2 で基準電圧と比較し、PWM 波にします。基準電圧をボリュームで変更することで、デューティ比を変化させています。

ゲート駆動部

Q4、Q5 は MOSFET の駆動回路、プッシュプルです。コンパレータの出力で直接駆動することも可能ですが、MOSFET に必要な電流を確保すると、オフ時の電流が大きくなってしまうので、俺はこの方式が好きです。
MOSFET は2SK4017 (60V 5A) が部品箱にありましたので、これを使いました。

以下、大雑把な計算です。

ゲート入力電荷量は 15nC です。立ち上がり時間を 1μs とすると、ゲート電流 Ig は、

Ig = ( 15 x 10-9 ) / ( 1 x 10-6 ) = 15 x 10-3 = 15 [mA]

R10 は電流制限用です。Q4 のエミッタ電圧を 4.3V とすると、電流 IR10 は、

IR10 = 4.3 / 220 = 20 [mA]

で、充分です。ゲートソース間抵抗 R11 と分圧されたゲート電圧 Vg は、

Vg = 4.3 x 10 / ( 10 + 0.22 ) = 4.2 [V]

ゲートしきい値電圧は 2.5V なので、充分でしょう。
Q4 のコレクタ電流を 20mA、増幅率を 40 としたときのベース電流 Ib4 は、

Ib4 = 20 / 40 = 0.5 [mA]

したがって、ベース抵抗 Rb は、

Rb = 4.3 / 0.5 = 8.6 [KΩ]

なので、R8 を 4.7KΩ としました。R9 は保護用ってことで 220Ω つけてます。
コンパレータ U2 の出力が Low のときのシンク電流 Is は、

Is = 5 / 4.7 = 1.06 [mA]

です。BA10399 のシンク電流は 10mA ですので、問題ありません。
Q5 オン時のベース電流 Ib5 は、

Ib5 = ( 4.2 - 0.7 ) / 2 x 220 = 8.0[mA]

ですから、ゲート入力電荷はじゅうぶん抜けるでしょう、たぶん。

出力部

MOSFET 2SK4017 はローサイドスイッチとしています。

図 1 ドレイン電圧 (スナバ回路なし)
図 2 ドレイン電圧 (スナバ回路あり)

図 1 は、2SK4017 のドレイン電圧波形です。6MHz 程度のリンギングが起きています。

LED バーライトのコードが 2m ありますので、そのへんの影響が大きいのかなぁと思います。内部回路がわかっていませんが、その影響もあるかもしれません。

対策として、C2 と R12 によるスナバ回路をつけました。
スナバ回路をつけたときのドレイン電圧が、図 2 です。スパイク電圧は残っていますが、リンギングは充分に取り除けられました。もう少し小さな容量でもいいのかもなぁ、とも思ってますが、まぁこんなもんです。

リンギングが起きている状態で、コンデンサ 0.01μF をつけるとリンギング周波数が半分程度になりました。周波数比は 2 です。このときの寄生容量 Cp は、つけたコンデンサ容量の 1/3 になるので、

Cp = 0.01 x 10-6 / 3 = 0.0033 x 10-6 = 0.0033 [μF]

寄生インダクタンス Lp は、

Lp = 1 / {( 2 x π x 6 x 106 )2 x 0.0033 x 10-6 } = 0.21 x 10-6 = 0.21 [μH]

抵抗値を寄生インピーダンスと一致させると、電力消費が最大化されるので、

R = √( 0.21 x 10-6 / 0.0033 x 10-6 ) = 8.0 [Ω]

となります。えーと、部品箱にあるのは 2.2Ω でしたので、2.2Ω つけてます。まぁ、てきとーでいいんじゃないでしょーか (^_^;)

参考にさせていただいたサイト:
https://emb.macnica.co.jp/articles/1999/
https://analogista.jp/snubber/

電源部

1 系統点灯時の電流を測ると 0.8A でした。2 系統だと 1.6A ですから、電源は最大 2A 程度必要になります。電源に使ってた USB 充電器が 2.4A の容量がありますので、これを利用すれば良いと思います。
が、ここではちょっと勉強のために、いつもの三端子レギュレータ 7805 を使ってみることにしました。

三端子レギュレータ 7805 は最大 1.5A なので電流容量が不足しています。トランジスタでブーストしましょう。部品箱に 2SA1725 (80V 6A) がありましたので、これを使います。
全体で 2A あればよいので、7805 に 0.4A、2SA1725 に 1.6A 流すことにします。

…… 、ということで実験していると、どうも考えているほど電流が流れていない。なんでだろうと再度確認してみると、1 系統点灯時はたしかに 0.8A 流れるのですが、2 系統点灯しても電流が増えない。そうか、2 系統点灯時は電流を半分にして、全体の明るさが増えないようにしているんだね。
内部がどんなになっているか、いまのところ分解してみる気にはなってないのでわからないですが、まぁ、PWM で調光できるし、回路組んだし、勉強だし。そのまま続けることにします (^_^;)

では、出力電流を 1A として、7805 に0.2A、2SA1725 に 0.8A 流すことにします。
2SA1725 のデータシートによると、コレクタ電流 IC = 0.8A 時のベースエミッタ電圧 VBE は 0.8V です。増幅率を 50 とするとベース電流 IB は、

IB = 0.8 / 50 = 0.016 [A]

なので、抵抗 R14 に流れる電流 IR は、

IR = 0.2 - 0.016 = 0.18 [A]

したがって、抵抗 R14 は、

R14 = 0.8 / 0.18 = 4.4 [Ω]

となります。部品箱にあったのは 3.3Ω なので、これを使いました。
2 系統を最大出力で点灯したときの実測値で、 VBE は 0.68V、出力電流 0.43A でしたので、7805 に 0.21A、2SA1725 に 0.22A ってところでしょうか。
しかし、ずいぶん電流値が下がってます。LED バーランプへの出力電圧は 4.7V、電流は 0.36A となっていました。たしかに少し暗くなっているかもしれませんが、それでも十分明るいです。

ヒートシンクの計算

電流値をみる限り、電源部は軽い動作のようですが、7805 も 2SA1725 もかなり発熱しています。ちょっと簡単に確認してみましょう。

7805 ヒートシンク無しのとき

入力電圧 12V、出力電圧 5V、したがって降下電圧は 7V です。電流は 0.21A なので、消費電力 P は、

 P = 7 x 0.21 = 1.47 [W]

ヒートシンク無しのときの熱抵抗 θja は 63℃/W。周囲温度 25℃ のときのジャンクション温度 Tj は、

Tj = 63 x 1.47 + 25 = 118 [℃]

最大ジャンクション温度は 150℃ なので、ヒートシンク無しでも使えないことはなさそうです。いやいや、100℃ 超えると沸騰します。ブレッドボードが溶けます (;´Д`)

では、どれだけの電流が取り出せるでしょうか。
最大ジャンクション温度を定格の 80% の 120℃、周囲温度を 60℃ としたとき、消費電力 Po と出力電流 Io は、

Po = ( 120 - 60 ) / 63 = 0.95 [W]
Io = 0.95 / 7 = 0.136 [A]

となります。必要な電流は 0.21A なので、足りなくなりました。

7805 ヒートシンクの計算

ヒートシンクを付けた場合の熱抵抗 θjc は 5.0℃/W、ケースとヒートシンク間の熱抵抗 θch を 0.5℃/W、ジャンクション温度 120℃、周囲温度 60℃ のとき、ヒートシンクの熱抵抗 θha は、

θha = ( 120 - 60 ) / 1.47 - 5.0 - 0.5 = 35 [℃/W]

ヒートシンクは、熱抵抗が 35℃/W 以下のものを選びます。

いつも実験で使っているヒートシンクは、秋月電子通商で購入した小型のもの。熱抵抗は 20℃/W となっていますので、これでいけますね。

2SA1725 ヒートシンクの計算

降下電圧 7V、出力電流 0.22A なので、消費電力 Po は、

Po = 7 x 0.22 = 1.54 [W]

ヒートシンクを付けたときの熱抵抗 θjc は 4.2℃/W、ケースとヒートシンク間の熱抵抗 θch を 0.5℃/W、ジャンクション温度 120℃、周囲温度 60℃ としたとき、ヒートシンクの熱抵抗 θha は、

θha = ( 120 - 60 ) / 1.54 - 4.2 - 0.5 = 34 [℃/W]

こちらもいつものヒートシンク 20℃/W でいけます。

ただ、60℃ 以上に熱くなったヒートシンクは、触ると火傷します。実験していると、ふわっと焼けるような臭いがすることもあります。なので、実験中は小型の冷却ファンを回してました。
これを実装するならば、もっと大きなヒートシンクをつけるとか、放熱効果の期待できるケースを利用するとか、する必要あります。だからまぁ、スイッチング電源を利用するのがベストなんでしょうね。

ブレッドボード

LED バーライト調光器

ブレッドボードです。

中央付近の変換基板に載っているのが、コンパレータ BA10339 です。
その左に、周波数と出力の調整用のボリューム、その下が定電流回路と発振回路です。右は出力の USB コネクタ、その下が MOSFET と駆動回路。4W 型の 2.2Ω がスナバ抵抗です。
左が電源回路。2 つのヒートシンクは、左が 2SA1725、右が 7805 で、冷却ファンで冷やしてます。

ちなみに。コンパレータ BA10339 は 4 回路入りで、2 回路は使っていません。未使用のコンパレータは、+入力は 5V、ー入力は GND にそれぞれつないでおきましょう。出力はオープンです。

製作後記

電源回路は、いつもそんなに考えてない。っていうか、大きな容量を必要とすること、ないんですよね。だから、安直に三端子レギュレータを使って、熱くならないしオッケー、って感じです。
今回は、あらためて勉強させてもらいました。最大 1.5A といっても、じつはそんなに多くの電流は取り出せないことを、再認識です。

そういえば、サーボモータが予想以上に電流食うし、電源なんとかしなくちゃ、って思ってたんだった。次は、サーボモータのドライバを、電源込みで考えてみましょうか。

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