NE555は、タイマ回路や発振回路に使われるとてもポピュラーな ICです。が、じつは俺、まだ使ったことがない。なので、タイマIC NE555について調べてみました。
前回は、NE555の内部回路と動作の概要について確認しました。
今回は、単安定動作 (Monostable Operation) について確認してみましょう。
単安定動作 (Monostable Operation) とは
トリガパルスを入力すると RSラッチがセットされ、コンデンサの充電が始まる。コンデンサの電圧がしきい値に達したら、RSラッチがリセットされる。
と、それだけの動作。トリガでタイマがスタートし、一定時間後にリセットされる、ってことです。
単安定動作の回路
3分間を計るだけ、のタイマ回路 (図1) をつくってみました。3分といえば、カップラーメンタイマか?
押しボタンスイッチ S1はタイマスタートボタンです。押下すると TRIGが LOWになる。と、出力 OUTが HIGHになって、LED1が点灯する。同時に、DISCHがオフになってコンデンサ C1の充電が始まる。
C1の電圧が THRESのしきい値 3.3Vを超えると、OUTが LOWになって、LED1は消灯。DISCHがオンになって C1が放電。待機状態となる。
ただし、もし S1が押されっぱなしで TRIGが LOWのままだと、C1の電圧が THRESのしきい値に達しても、OUTは LOWにならないです。タイマカウント中に押しボタンを押下しても影響ないけど、タイムアップするには、TRIGが HIGHになってから 10μs以上が必要、とのことです。
TRIGのプルアップ抵抗 R1は、押しボタンを押したときにある程度の電流が流れるように、ちょっと小さめにしました。在庫のタクトスイッチが、最近、接触不良ぎみなんですよねぇ (;´Д`)
タクトスイッチに流れる電流 IS1は、
IS1 = 5 / 1 = 5 [mA]
定格開閉電流 50mAという規格なんだけど、その 1/10が適当かどうかは、テキトー。とりあえず、接触不良なく、確実にスタートできてます。
CR回路 (R2、C1) は、この定数で 2分40秒ほどになりました。
データシートによると、出力時間 tw は、
tw = 1.1 x 680 x 103 x 220 x 10-6 = 165 [s]
なので、ほぼ計算通りです。100KΩぐらいのボリュームをいれれば、きっちり 3分にできそうです。
ちなみに、R2を大きくしすぎると、R2での電圧降下が大きくなって、C1の充電電圧がしきい値に達しなくなります。逆に小さすぎると、DISCHへ大きな電流が流れてしまいます。注意が必要です。
D1は、電源オフ時に C1を放電させるためのダイオードです。
タイムアップして DISCHがオンしたとき、C1はオープンコレクタで放電されます。オープンコレクタの許容電流がわからないんですけど、電流制限抵抗は必要ないのかなぁ。ってことで、放電時間を確認すると 10msほどになっていました。
C1の容量 220μF、電圧 3.3V、放電時間 10msとすると、放電電流 Idは、
Id = (220 x 10-6 x 3.3) / (10 x 10-3) = 72.6 x 10-3 = 72.6 [mA]
って程度なので、大丈夫なんでしょう、たぶん。小さい抵抗を入れておくとよいかも、です。
CONTにコンデンサ C2をつけました。なくても問題なかったんですけど、ウィキペディアなんかにも 10nF (=0.01μF) 程度つけておけ、と書いてあるので、逆らう必要、ないです。
C3は、まいどのバイパスコンデンサです。これもおまじないと思って、つけておきましょう。回路図に書いてなくても、つけておくんですよ。
後記
カップラーメンタイマというにはあまりに稚拙だけど、タイマ回路の原理は理解できたと思います。わかってしまえば、むずかしくはないですね。
RESETについて。
今回は Vccにつないでおきました。が、こいつは C1の電圧に関係なく RSラッチをリセットするので、タイマを停止させるとか、再スタートさせるとか、できます。
電源オン時に、通常 RSラッチはリセットされていますが、誤動作を防ぐために CR回路で立ち上がりを遅らせる、というのもアリです。
Vccにつなぐだけで忘れ去りそうですが、うまく使うことを考えましょう。
では次回は、非安定動作モード (A-stable Operation) について確認してみたいと思います。