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タイマIC NE555 を使ってみた (6) / 電圧信号で制御する PWM波発生回路

NE555は、タイマ回路や発振回路に使われるとてもポピュラーな ICです。が、じつは俺、まだ使ったことがない。なので、タイマIC NE555について調べてみました。

前回は、コンパレータと NANDゲートをつかって、555タイマのような回路をつくってみました。じっさいにこれを使うことはないでしょうが、NE555を理解する一助になったと思います。

今回は、データシートに載っているパルス幅変調 (Pulse-Width Modulation) 回路を参考に、電圧信号で制御する PWM波発生回路をつくってみようと思います。

電圧信号で制御する PWM波発生回路

ネットでよくみかける NE555を使った PWM波発生回路は、ボリュームで充放電の時間を変化させるものでした。でもそれでは、センサなどからの電圧信号で制御することができません。そこで、電圧信号で制御することのできる PWM波発生回路をつくってみました。

回路図

図1. PWM 回路図

図1 が、電圧信号で制御する PWM波発生回路です。NE555を 2個使っています。

左側の NE555 (IC1) は、非安定動作によるクロック発振回路です。周期 100μs、+デューティ比 90%のトリガパルスを発振しています。

右側の NE555 (IC2) が PWM回路です。周期はクロックと同じ 100μs、パルスの +デューティ比の範囲は13~93%になっています。

下のオペアンプは、制御用の電圧信号 0~5Vを発生させるための、テスト用の回路です。

PWM波を発生させるしくみ

基本は単安定動作です。

TRIGに与えられたクロックが LOWになると OUTが HIGHになる。C4が R3をとおして充電されていき、THRESのしきい値を超えると OUTが LOWになる。
このとき、CONTに与える電圧によってしきい値を変化させることができます。つまり、しきい値が低ければ早いタイミングで OUTが LOWになり、高ければ遅くなる。これで、出力パルスの幅が変化します。

OUTが LOWになったあとに、次のクロックを与えて、上の動作を繰り返します。

CONTに与える電圧

データシートに書かれている一文。

The modulating signal can be direct or capacitively coupled to CONT. For direct coupling, the effects of modulation source voltage and impedance on the bias of the timer should be considered.

https://www.ti.com/lit/ds/symlink/ne555.pdf

分圧抵抗の値が明確でないのですが、グーグル先生によると 5KΩが 3個、らしいです。
確認してみましょう。まず、CONTを 10KΩでプルダウンすると、CONTの電圧は 2.5Vになりました。同じく 10KΩでプルアップすると 3.75Vになりました。内部抵抗はどれだけ? 答えは、Vcc~CONT間が 5KΩ、CONT~GND間が 10KΩです。グーグル先生のご説は、正しいことがわかりました。
ちなみに、5KΩが 3個なので「555」と呼ぶのだとか。だから、5KΩで間違いないのです。

外部から CONTへ電圧をかけたとき、電圧源のインピーダンスによって分圧の状態が変化します。それは、内部トランジスタのバイアス電流に影響を与え、NW555自体の動作にも影響するぞ、というようなことが、引用文に書かれています。

だからどーしろと? 俺にはわかりません。
ただ、電圧源のインピーダンスが高いと、CONTの電圧が変化しないことは、想像できます。低すぎるとバイアス電流への影響が大きくなりそうです。そのあたりを注意しておきなさい、とゆーことかと。

それはそれとして。

ボリュームで直接電圧をかけてもよいのですが、じっさいの制御回路を想定して、オペアンプから 0~5Vの電圧を加えてみました。ただし、0Vを加えようとしても、内部のベース電圧のために 0.8Vより下げることはできません。ボリュームで無理矢理下げても、動作しなくなるだけです。

クロックとデューティ比について

クロック周期は 100μsです。+デューティ比が 90%の負 (0V) のトリガパルスになっています。

TRIGが HIGHになって 10μs以上経過しないと OUTが LOWに戻らないので、OUTのパルス幅は最小で 10μsになります。したがって、クロック周期が 100μsならば、PWM波のデューティ比は 10%が最小値になります。
また、TRIGが LOWのままでは OUTは LOWになりませんので、トリガしたらすぐに HIGHに戻しておく必要があります。そのために、クロックは LOWの時間を短くした負のトリガパルスにしました。
コンデンサ結合にしてワンショットをとりだす、ってのもアリです。

最大デューティ比を 100%にしようとすると、OUTが LOWになるタイミングでトリガしなければいけません。LOWへの遷移が遅れると過変調状態 (*1) になってしまいます。
そこで、トリガパルスを RESETにも入れて、クロック発振と PWM回路の CR時間を同期させることで、過変調を防いでいます。でもそのために、トリガパルスの LOW期間は出力が HIGHになりませんので、最大デューティ比が 90%に抑えられてしまいます。

ということで、この回路が出力できる PWM波のデューティ比は、10~90%です。実測値では 13~93%になっています。

(*1) 過変調状態 クロック周期よりも PWM波のパルス幅が大きい状態。過変調になると、PWM波の周期が 2倍になってしまいます。

後記

タイマIC NE555をつかって、電圧信号で制御する PWM波発生回路をつくってみました。それなりに使えそうな回路になったと思います。

でも。

PWM波発生回路として、俺はいつも、過去記事でつくった回路を使っています。これはコンパレータ 2個とトランジスタ 3個で、回路も簡単だし、直線性もよく、0~100%のデューティ比で出力できます。
こいつに取って代われるか?っていうと、うーん、むずかしいっすね。

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