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144MHz 受信用にダイポールアンテナをつくる

手元にある無線機はアイコムの IC-2N、1980年発売の 144MHz FMハンディ機です。付属のアンテナは 18cm長の「フレキシブルアンテナ」。これを机上に置いていても、ほとんどなにも聞こえてきやしない。そこで、とりあえず受信用にアンテナをつくろうと思います。

簡単につくれそうなアンテナといえば、ダイポールアンテナでしょうね。ダイポールアンテナとは、波長の 1/2 の長さの線状のアンテナです。詳しくは、ググってください。
ダイポールアンテナは、いわばアンテナの基本です。電子工作の Lチカみたいな? ところが、基本といっても奥が深い。理論的なことを学んでいくとすごく難しいです。でも、難しいことはおいといて、とにかくつくってみませんか。最初の一歩、Lチカみたいに。

アンテナの長さ

Dipole antenna in meters.png
User:Father Goose – Resized version of PD image Image:Dipole antenna.png with “feet” converted to “meters” and attribution text removed, パブリック・ドメイン, リンクによる

図1. 半波長ダイポールアンテナの概略図 (ウィキペディアより)

ダイポールアンテナの長さは、電波の波長 λ の半分 λ/2 です。その中央部分に同軸ケーブルをつないで給電します。
今回つくるのは 144MHz帯のアンテナですが、FM (F3E) で通信できるのは 144.70 ~ 145.80MHz と定められています(*1)。そして 145.00MHz がメインチャンネル (呼出周波数) です。なので、145.00MHz を中心周波数として考えることにしましょう。

まず、電波の波長について。電波は光の速度 30万 km/秒で進みます。波長 λ は光の速度 v を周波数 f で割った値ですから、145.00MHz の波長は、

λ = v / f = (3 x 108) / (145.00 x 106) = 2.07 [m]

となり、その半分 λ/2 は 1.035m です。つまり、両手を軽く広げたぐらいの長さの電線の中央を切って、同軸ケーブルを左右の電線 (エレメント) につなげばよい。実際には、短縮率 0.97 という値をかけた 1.004m の長さにします。この短縮率はいろいろな条件によって変化するので、あとから調整できるようにしておきます。よくあるのは、少し長めにつくっておいて、少しずつ切りながら最適な長さに調整するという方法です。

インピーダンスについて

アンテナについて調べると必ず出てくるのが「インピーダンス」です。単位は、抵抗と同じ [Ω] です。難しいことはこれからぼちぼち勉強していきましょう。

が、とりあえずここでおさえておかなければならないのは、無線機にも同軸ケーブルにもアンテナにもインピーダンスという値があって、それらを全部同じにしなければいけない、ということ。同じにすることで電波がちゃんと伝わってくれる。違っていると電波がうまく伝わらないだけでなく、ノイズがでたり、無用な電波が出て他の機器に影響が出たり、悪くすると送信機を壊してしまいます。
と、一般にいわれています。

無線機 IC-2N のアンテナ端子のインピーダンスは 50Ω(*2) です。なので、同軸ケーブルも 50Ω(*3) の RG-58A/U を使うことにします。RG-58A/U は細めの同軸ケーブルで減衰量が大きいのですが、IC-2N 筐体とのバランスを考えると太いケーブルはちょっと、と思ったのでこれを選びました。同軸ケーブルの扱いに慣れて本格的にやるときは、もっと太くて低損失な同軸ケーブルがよいと思います。同軸ケーブルをつなぐコネクタは BNC というタイプなので、これも 50Ω のものを使います。
そしてダイポールアンテナのインピーダンスはというと、これが残念ながら 75Ω(*4) ぐらいなんですね。なので、きちんとインピーダンスを整合させるには 75Ωを 50Ωに変換しないといけません。

でもですねぇ、とりあえず受信用につくろうというダイポールアンテナ、50Ω が 75Ω だとしても受信機は壊れやしません。もちろん性能は落ちるでしょうが、75Ω のダイポールアンテナに 50Ω の同軸ケーブルを直接つないでしまいましょう。

(*2) 受信機のアンテナ端子のインピーダンスは「負荷の入力インピーダンス」です。送信機の場合は「信号源の出力インピーダンス」になります。
(*3) 同軸ケーブルのインピーダンスは「伝送路の特性インピーダンス」です。高周波信号の電圧と電流の比を表します。
(*4) 受信アンテナのインピーダンスは「信号源の出力インピーダンス」です。送信では「負荷の入力インピーダンス」になります。

バランについて

ダイポールアンテナにはバランをつけなければいけない、といわれます。「バラン」とは、バランス (平衡) とアンバランス (不平衡) を組み合わせた言葉。バランは平衡と不平衡を変換するための装置です。
平衡、不平衡とは、ケーブルやアンテナに電磁波が流れるときの状態をいいますが、同軸ケーブルは不平衡で、ダイポールアンテナは平衡です。そこで、同軸ケーブルの不平衡をアンテナの平衡に合わせるためにバランをつけないといけないのです。

が、じゃバランがなかったらどうなるのか。インピーダンスの不整合と同じように、ノイズや無用な電波がでる原因になり性能が落ちます。
と、一般にいわれています。

でもでもですねぇ、とりあえずの受信用アンテナには、大した影響はないです。これも今回は取り付けません。今後、必要になったら考えていきましょう。

ダイポールアンテナをつくる

ということでさまざまありますけれど、とにかくダイポールアンテナをつくってみましょう。

ダイポールアンテナ試作品
図2. ダイポールアンテナ 試作品

材料は、できるだけそこらにあったものを使います。
エレメントは 0.75mm2 の電源ケーブルを割いたものです。長さは 550mm が 2本。今回は長さの調整を行ないませんので、両端を折りたたんで、全長を 1m に仕上げました (図2 は折りたたんでいない状態です)。
両端に出ている麻紐は、アンテナの取り付け用です。

給電部
図3. 給電部

給電部はペットボトルの蓋です。BNCレセプタクルを取り付けてあります。
インピーダンス整合や平衡・不平衡変換はしていませんので、エレメントを直接はんだ付けしているだけ。むき出しのままです。

BNCコネクタ
図4. BNC コネクタ

BNCコネクタとレセプタクル、圧着工具は、今回購入しました。どれもネットでみつけた安いものです。コネクタはあまり良いものではない感じでしたね。
同軸ケーブルも購入しました。RG-58A/U (50Ω) ですが、芯線が撚り線なのでコンタクトに差し込むのが、慣れないとむずかしいです。単線があれば、そのほうが取り付けやすいんじゃないかと思います。

できあがったダイポールアンテナは、今後調整したりしてみようと考えているので、室内に天井からぶら下げました。下へも紐で引いて、輪ゴムでテンション与えてピンと張るようにしています。
144MHz FM なので垂直偏波の局が多いだろうと思い、垂直ダイポールアンテナにしたということです。

後記

今回は、144MHzバンド受信用に簡単なダイポールアンテナをつくってみました。
とりあえず形をつくったというレベル。近隣でオンエアされている局がないので、いまのところ効果はわかりません。ただ、これまでにはなかったノイズ混じりの音声が聞こえていたので、多少変化はしているようです。ワッチを続けてみましょう。

数10年ぶりに、あらためてアンテナなどについて勉強しています。昔はチンプンカンプンだったことも、いまではグーグル先生たちがおられるので理解できそうです。勉強しながら、このアンテナを調整してみたりしたいと思います。

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