NE555は、タイマ回路や発振回路に使われるとてもポピュラーな ICです。が、じつは俺、まだ使ったことがない。なので、タイマIC NE555について調べてみました。
前回は、単安定動作 (Mono-stable Operation) について確認してみました。単安定動作は、タイマ回路として使うことができました。
今回は、非安定動作 (A-stable Operation) について確認してみましょう。
非安定動作 (A-stable Operation) とは
単安定動作のタイマ回路のコンデンサ電圧を、TRIGにも入れてやる。すると、タイムアップしてコンデンサが放電したとき、電圧が TRIGのしきい値を下回って、再びタイマ回路がスタートする。つまり、タイマ回路が自己トリガすることになって、いわゆるマルチバイブレータとして動作する。
これが、非安定動作です。
非安定動作の回路
マルチバイブレータといえば、トランジスタ 2石でつくる、基本的な、誰でも知ってる、あの回路です。
同じように、2個の LEDが交互に点滅する回路 (図1) をつくってみました。
コンデンサ C1は R1、R2をとおして充電される。 C1の電圧が THRESのしきい値 3.3Vを超えると OUTが LOWになり、LED1が点灯。
同時に DISCHがオンになり、C1は R2をとおして放電。TRIGのしきい値 1.7Vを下回ると OUTは HIGH。LED2が点灯し、LED1が消灯する。
DISCHがオフになり、C1が充電されて、OUTが LOW、LED2が消灯、LED1が点灯。
この繰り返し。
一目してわかるように、C1は R1、R2をとおして充電され、R2だけをとおして放電します。つまり、充電時間と放電時間が異なることになり、出力のデューティ比が 1:1 になりません。そのため、R2は R1より充分大きく、100倍にするとよい、とグーグル先生は言います。
が、だからといって R1を小さくしてしまうと、DISCHへ流れ込む電流が大きくなってしまいます。ここでは R1を 10KΩとして、DISCHへの電流を 0.5mAに抑えています。R2はその 100倍として 1MΩとしてみました。C1からの放電電流はわずかですので無視していいでしょう。
OUTの HIGHレベル期間 tHと、LOWレベル期間 tLは、
tH = 0.693 x (10 + 1000) x 1 = 700 [ms] tL = 0.693 × 1000 × 1 = 693 [ms]
オシロスコープによる実測値では、tH=0.720s、tL=0.700s でした。周期 1.42s、周波数 0.70Hzとなります。+デューティ比は 50.7%。交互点滅 Lチカとしては、なかなかいいんじゃないでしょうか。
R1 | R2 | tH | tL | Freq | +Duty |
10KΩ | 1MΩ | 0.720s | 0.700s | 0.70Hz | 50.7% |
10KΩ | 100KΩ | 77.0ms | 70.0ms | 6.80Hz | 52.4% |
10KΩ | 10KΩ | 14.0ms | 6.80ms | 48.1Hz | 67.3% |
10KΩ | 1KΩ | 7.70ms | 0.60ms | 120Hz | 92.8% |
10KΩ | 100Ω | 6.96ms | 40.0μs | 143Hz | 99.4% |
抵抗値を変えてデューティ比がどうなるかをみてみました。
R1=R2 のときに 2:1 ほどになってます。
+Duty = tH / (tL + tH) = (R1 + R2) / (R1 + 2 x R2)
ですから、だいたい計算式どおり。
ただ、R1と R2の比率を変える方法では、デューティ比を 50%以下にはできません。
簡単に 50%以下にしたいときは、OUTをシンクで使うという手が、あります。R1=1MΩ、R2=10KΩに入れ替えると、シンクで動作している LED1が、1.4Hzでフラッシュするようになります。
後記
NE555の非安定動作は、発振器として利用できることがわかりました。データシートによると、0.001Hz~100KHz まで利用できるとか。
出力波形は、立ち上がりエッジで一瞬 5Vになってから下がるので、ヒゲのようになるのが気になりますが、まぁきれいです。
デューティ比も、ほぼ 1:1になります。
デューティ比の調整に関しては、充電と放電の経路を別にするという方法は、すぐに思いつきます。ネットにも、そうした回路が紹介されています。
ところで、出力のデューティ比を変化させるって、PWMってことじゃね?
ググってみると、コンデンサの充電時間と放電時間を、ボリュームで変化させる方法の PWM回路もでてきます。DCブラシ付モータやサーボモータへの応用例もあるようです。
ということで、次回は、ネットでよくみかけるいくつかの回路例を、試してみようと思います。