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アナログ回路 / エミッタ接地増幅回路 (交流帰還あり) の等価回路

アナログ回路というと、なんだかむずかしい。増幅回路も、わかるようなわからんような。
そこで、増幅回路についてあらためて勉強してみようと思います。むずかしい理論は教科書みてください。ここでは、俺が電子工作でかんたんに遊べる程度のことをやっていきます。

前回は、正弦波信号をエミッタ接地増幅回路へ入力して、増幅動作を確認してみました。うまく増幅できて、ほっと一息 (^_^;)

今回は、エミッタ接地増幅回路の等価回路をみてみようと思います。回路のことが、もっとよくわかる、かも。

エミッタ接地増幅回路 (交流帰還あり) の等価回路

図1. エミッタ接地増幅回路 (交流帰還あり) の等価回路

図1 が、実験しているエミッタ接地増幅回路 (交流帰還あり) の等価回路です。

がぁ、突然こんな回路がでてきても、訳わかんねぇ。実験しているあの増幅回路が、どうしてこんな回路になるのか。そこんところを説明してくれぃ。

テブナンの定理

「等価回路」とは、ある回路に入出力する電圧や電流などの関係が等しい別な形の回路のこと。
複雑な回路をブラックボックスと考えて、ある入力を与えたときに同じ出力が得られれば、ブラックボックスの中がどんな回路であろうが、それは等価回路になる。ふつーは、複雑な回路を簡単にするために等価回路を考えます。

複雑な回路を、より簡単な等価回路に変換してくれるのが「テブナンの定理」。
くわしいことは教科書みてください。等価回路をつくるために「電圧源はショート、電流源はオープン」にする、それだけ。

電圧源ってなに?
たとえば電源回路。5V の電源に抵抗つなぐと電流が流れるけど、電圧は 5V のまま変わらない。これが電圧源。

電流源ってなに?
こいつはちょっとイメージしにくいんだけど、いまやっている実験では、トランジスタのコレクタが電流源になる。コレクタに流れる電流はベース電流によって決まるので、コレクタに抵抗をつないでもコレクタ電流は変わらない。これが電流源。

等価回路に変換する

電圧源はショートするんだから、VCC と GND をつなぐ。だから、等価回路では、VCC につながっていた RB1 と RC も、RB2 と RE の共通ライン (GND) につながっている、とします。
じっさいの回路で VCC と GND をつないだりしないよーに。電源ショートして燃えます (;´Д`)

エミッタ接地のトランジスタは、破線でかこったような等価回路になる。
左側がベースで、下のエミッタとの間に hie という抵抗 (インピーダンス) がある、と考えます。ここにベース電流 ib が流れ込む。
右側がコレクタで、エミッタに向かって電流が流れる電流源と考えます。コレクタ電流はベース電流 ib の直流電流増幅率 hFE(*1) になることは、これまでに学びました。
ベースとコレクタにはつながりはありません。ベースとコレクタ間に電流は流れない。じっさいにはコレクタ遮断電流とかあるけど、ここでは無視です。

(*1) 等価回路では hfe となっていますが、hFE と同じと考えていいです。ちなみに、hFE は直流電流増幅率 IC/IB 、hfe は入力電流の変化量に対する出力電流の変化量の割合 ΔIC/ΔIB

ってことで、等価回路ができました。

エミッタ接地増幅回路を等価回路で考える

図1. エミッタ接地増幅回路 (交流帰還あり) の等価回路

エミッタ接地増幅回路 (交流帰還あり) の等価回路を、左に再掲します。

等価回路ですから、入力側、または出力側から回路をみたときに、もとのエミッタ接地増幅回路と同じにみえる、はずです。

ただ、これから考えるのは、これまでみてきたバイアス電圧などの直流分ではなく、入力された交流信号 (正弦波) がどのように出力されるのか、ということ。
ちょっと混乱しがちだけど、注意しながら進めましょう。

入力インピーダンス

等価回路をみながら、回路の入力インピーダンスについて、考えてみましょう。

実験結果から求めたベースの入力インピーダンス

前回の実験の結果から、信号の入力電圧 vi = 0.46V (p-p値、以下同様)、出力電圧 vo = 0.94V、電圧増幅率 Av = 2.04 でした。

コレクタ負荷抵抗 RC = 2.2KΩ なので、コレクタ電流 ic は、

ic = vo / RC = 0.94 / (2.2 x 103) = 0.43 x 10-3 = 0.43 [mA]

このトランジスタの直流電流増幅率 hFE は、以前の実験結果から 248 でしたので、ベース電流 ib は、

ib = ic / hFE = 0.43 x 10-3 / 248 = 0.0017 x 10-3 = 0.0017 [mA]

ベースの入力インピーダンス Zb は、

Zb = vi / ib = 0.46 / (0.0017 x 10-3) = 270 x 103 = 270 [KΩ]  

となります。

計算で求めるベースの入力インピーダンス

まず、初めて登場したパラメータ hie について。これは、エミッタ接地回路の、ベースエミッタ間のインピーダンスをあらわしています。ベース電流 (バイアス電流)を IB とすると、

hie = VT / IB = 0.026 / IB = hFE x 0.026 / IC

ここで、VT は熱電圧という定数で、0.026V です。教科書によってはいろいろかもしれませんけど、ここではこうしておきます。また、コレクタ電流 IC は、動作点の直流電流値です。

ベースからは、エミッタ側の RE は hFE 倍されてみえるので、ベースの入力インピーダンス Zb は、

Zb = hFE x RE + hie = hFE x (RE + 0.026 / IC)

となります。こうなるんです、とやかく言わない。(*2)

(*2) キルヒホッフの法則から vi = ib x hie + ib x (1+hFE) x RE なので、Zb = vi / ib = hie + (1+hFE) x RE
1 ≪ hFE とすると、Zb = hie + hFE x RE

実験回路では、hFE = 248、RE = 1KΩ、IC = 0.92mA でした。入力インピーダンス Zb は、

Zb = 248 x { 1 x 103 + 0.026 / (0.92 x 10-3) } = 255 x 103 = 255 [KΩ]

となります。

実験結果から求めたベースの入力インピーダンスと、ほぼ一致しました。

回路の入力インピーダンス

ベースの入力インピーダンス Zb は、ここでは計算で求めた値をつかいます。

等価回路でわかるように、入力側から回路をみたとき、ベースの入力インピーダンス Zb と抵抗 RB1、RB2 は並列につながっているので、回路の入力インピーダンス Zin は、

Zin = 1 / { (1 / RB1) + (1 / RB2) + (1 / Zb) }
    = 1 / { (1 / 68) + (1 / 33) + (1 / 255) } = 20 [KΩ]

以前にも同じように入力インピーダンスを計算をしました。実際の回路で測ってもみました。が、すべて同じ結果になりました。

こうした計算は、等価回路で考えるととてもわかりやすいです。
また、ベースの入力インピーダンス Zb が十分大きければ、回路の入力インピーダンス Zin は、

Zin = 1 / { (1 / RB1) + (1 / RB2) } = (RB1 x RB2) / (RB1 + RB2)

ブリーダ抵抗 RB1、RB2 で入力インピーダンスが決まる、ってことです。

出力インピーダンス

出力インピーダンスはコレクタ負荷抵抗と等しくなります。

等価回路を出力側からみたとき、コレクタにあるのは電流源ですので、オープンしていると考えます。つまり、コレクタには何もつながっていない、と。あるのはコレクタ負荷抵抗 RC だけです。
したがって、出力インピーダンス Zout は、

Zout = Rc

です。これも、等価回路で考えるとわかりやすいですね。

電圧増幅率

入力電圧 vi は、ベースの入力インピーダンス Zb にベース電流 ib が流れ込むのですから、

vi = ib x Zb = ib x hFE x (RE + 0.026 / IC)

と考えられます。

コレクタは電流源で、コレクタ負荷抵抗 RC にはコレクタ電流 ic が流れますから、出力電圧 vo はコレクタ負荷抵抗 RC による電圧降下分です。

vo = ic x RC = hFE x ib x RC

したがって、電圧増幅率 Av は、

Av = vo / vi = hFE x ib x RC / {ib x hFE x (RE + 0.026 / IC)}
   = RC / (RE + 0.026 / IC)

となりました。

実験回路では、RC = 2.2KΩ、RE = 1KΩ、IC = 0.92mA でしたので、

Av = 2.2 x 103 / { 1 x 103 + 0.026 / (0.92 x 10-3) } = 2.1

実験の結果では、電圧増幅率は 2.04 でしたので、ほぼ一致しています。

入力コンデンサ

入力コンデンサは、回路の入力インピーダンスとハイパスフィルタを構成する。これも、等価回路をみるとよくわかります。

入力信号に、コンデンサの影響がないようにしておかなければ、増幅度が低下してしまいます。そのために、ハイパスフィルタのカットオフ周波数を、入力信号の周波数より低くしておかなければいけません。
入力信号の最低周波数をどれだけにするか。音声を扱うとすると、昔の電話なら 300Hz だけど、最近の電話は 50Hz らしい。なので、最低周波数を 50Hz として、カットオフ周波数がこれ以下になるようにしましょう。

入力インピーダンス Zin = 20KΩ、カットオフ周波数 fc = 50Hz とすると、入力コンデンサの容量 Ci は、

Ci = 1 / (2π x fc x Zin) = 1 / (2 x 3.14 x 50 x 20 x 103) = 0.16 x 10-6 = 0.16 [μF]

この倍以上の容量として、0.47μF としましょう。
じっさいに、コンデンサを 0.47μF に替えてみました。発振回路のコンデンサと比較してかなり大きいのですが、増幅回路の入力インピーダンスが高いので、発振周波数などにほとんど影響はありませんでした。

出力コンデンサ

出力コンデンサ Co は、次段の入力インピーダンスとハイパスフィルタを構成します。いまのところ次段はありませんので、実験回路のまま 47nF としておきます。

後記

さてさて、今回は、エミッタ増幅回路 (交流帰還あり) の等価回路から、回路の特性をみてきました。

なんだか一気にむずかしくなりましたけど、どうですか? ひとつひとつ積上げてきたので、俺はかなり理解できました。ただ、まいどの俺的計算ですので、かなりテキトーなところがあると思います。そこんところは、教科書みて、また勉強していきたいと思います。

では、次回は「交流帰還なし」のエミッタ接地増幅回路を試していきたいと思います。こんどは、等価回路から設計していきますぞ (;´Д`)

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