アフィリエイト広告
アフィリエイト広告

アナログ回路 / エミッタ接地増幅回路 (交流帰還なし) の実験

アナログ回路というと、なんだかむずかしい。増幅回路も、わかるようなわからんような。
そこで、増幅回路についてあらためて勉強してみようと思います。むずかしい理論は教科書みてください。ここでは、俺が電子工作でかんたんに遊べる程度のことをやっていきます。

前回は、エミッタ接地回路 (交流帰還なし) の等価回路をつくり、回路の設計をしました。

今回は、この回路をじっさいに組み立てて、動作させてみたいと思います。

エミッタ接地増幅回路 (交流帰還なし)

実験する回路は、これまでと同じ電流帰還バイアス回路のエミッタ接地増幅回路です。今回は、エミッタにバイパスコンデンサを追加した交流帰還しない回路としました。これに、1KHz の正弦波を入力し、増幅動作を確認します。

実験回路図

前回、等価回路からコンデンサの容量などを決めたので、図1 のような回路となりました。

図1. エミッタ接地増幅回路 (交流帰還なし) 実験回路図

左側は、ツインT形正弦波発振回路です。これまでと変わりありませんが、出力コンデンサの容量を 0.47μF に変更しています。
右側が実験しているエミッタ接地増幅回路です。エミッタ抵抗に並列にバイパスコンデンサ 220μF を接続し、交流帰還をなくしています。入力コンデンサの容量も 2.2μF に変更しました。

中央部分は L形アッテネータです。発振回路の出力を減衰させるとともに、インピーダンスの調整をしています。といっても、シビアなことは考えていません。
前回までの実験で、増幅回路の入力インピーダンスが 20KΩ で発振回路への影響がほとんどなかったので、アッテネータの入力インピーダンスもその程度になるようにしています。増幅回路の入力インピーダンスは 5.3KΩ ですので、アッテネータの出力側を 5KΩ のボリュームにしました。
入力側電圧が 0.49V、出力側電圧が 38mV。ボリューム中央付近でいい電圧になる、だろうと。

実験結果

実験の結果は、うまくいってます。「増幅」してくれてます (^_^;)

電圧増幅率

アッテネータのボリュームを調整して、信号の出力電圧を 3.0V (p-p値、以下同様) にします。このときの増幅回路の入力電圧は 50mV でした。電圧増幅率 Av は、

Av = vo / vi = 3.0 / (50 x 10-3) = 60

です。計算では 78 でしたので、ちょっと小さくなっちゃいました。原因はよくわからんのですが、測定誤差ってのがいちばん影響大きいかも。

このときエミッタ電圧の変動は 3mV ほど。入力電圧の 1/10 になっています。エミッタバイパスコンデンサを大きくしても、これ以上はよくなりませんでした。もちろん、小さくすると変動は大きくなり、増幅率が下がります。

入力インピーダンス

入力インピーダンスの計算値は 5.3KΩです。

実測してみましょう。
増幅回路の入力側 VIN の位置に 1KΩ の抵抗を入れ、抵抗の両端の電圧を測ると、アッテネータ側が 18mVrms (実効値)、増幅回路側が 15mVrms でした。電圧降下 vr は 3mVrms ですから、電流 ir は、

ir = vr / R = 3 x 10-3 / 1 x 103 = 3 x 10-6 = 3 [μA]

この電流が増幅回路へ流れ込むので、入力インピーダンス Zin は、

Zin = v / ir = 15 x 10-3 / 3 x 10-6 = 5 x 103 = 5 [KΩ]

計算値とほぼ一致しました。が、こいつも測定誤差が大きいと思うので、あまりあてになりません。

ちなみに、前にやったようなボリュームで電圧を半分にする方法では、うまく測定できません。今回の回路のように、前後のインピーダンスがバランスしているときに大きい抵抗をいれると、回路への影響が大きくなってしまいます。
これは、参考程度に。

出力電圧

出力に PC スピーカをつなぎ、1KHz トーンを聞きながらボリュームを上げてみると、出力電圧が 3.3Vp-p を超えたあたりで、音が歪んできます。
まぁ、年寄りのあてがいな耳やしぃ、いいがにわからんげんけんどぉ (金沢弁 ^^;)

出力電圧 3.3V は、コレクタ電圧では 1.38~4.68V です。波形の下側が歪むようなので、コレクタエミッタ間電圧を 0.46V 以下にはできないということかな。データシートの IC – VCE 特性グラフでも、コレクタエミッタ間電圧が 0.5V 以下の範囲はコレクタ電流が減少しますからね。

周波数特性

周波数入力出力増幅率
50Hz50mV2.2V44
200Hz50mV2.9V58
500Hz50mV3.0V60
1KHz50mV3.0V60
12KHz50mV3.0V60
25KHz50mV3.1V62
図2. 周波数特性

はは、そんなんわかるかいな (;´Д`)

とかいいながら、発振周波数を変化させて、電圧増幅率を測ってみました。

低域で少し落ちますけど、いいんじゃないですかぁ?
えーと、50Hz で電圧増幅率が 73% なので、電圧比で -2.7dB。まさにカットオフ周波数で、計算通りっちゃ、計算通りだ (;´Д`)

ちなみに、低域で増幅率が低下するのは、カップリングコンデンサによりハイパスフィルタが構成されるから。コンデンサの容量を大きくすると改善する、かもしれません。

後記

今回は、交流帰還のないエミッタ接地増幅回路をつくって、動作を確認してみました。

初めて増幅回路の勉強をしたのは、半世紀も前のことです。当時は真空管でしたけど、チンプンカンプンでした。それがようやく、すこしばかり理解できたような気がします。

ノスタルジーはいいんですけど、ねぇ、なんだか波形がおかしくありませんか?

え? あっ、そういえば、出力波形が少しつぶれてますね。きれいな正弦波、とはいえないです。どうしてでしょう?
波形が歪むのは …、入力と出力の関係が “線形近似” じゃない。それはつまり、動作点がベストな状態じゃない、ってこと?

図3. 増幅回路の出力波形

次回は、出力波形が歪んでいる原因を調べ、改善できないか、考えてみます。

タイトルとURLをコピーしました