アフィリエイト広告
アフィリエイト広告

アナログ回路 / エミッタ接地増幅回路 (交流帰還なし) の等価回路

アナログ回路というと、なんだかむずかしい。増幅回路も、わかるようなわからんような。
そこで、増幅回路についてあらためて勉強してみようと思います。むずかしい理論は教科書みてください。ここでは、俺が電子工作でかんたんに遊べる程度のことをやっていきます。

前回は、エミッタ接地増幅回路 (交流帰還あり) の等価回路をつくり、回路の特性を調べてみました。ちょっとむずかしくなってきたけど、理解は進んでいると思います。

今回は、同じエミッタ接地増幅回路ですが、「交流帰還なし」の場合を考えていきます。

エミッタ接地増幅回路 (交流帰還なし) の等価回路

図1. エミッタ接地増幅回路 (交流帰還なし) の等価回路

図1 が、つぎに実験しようとしているエミッタ接地増幅回路の交流帰還なしの場合の等価回路です。

この回路では、エミッタ抵抗に並列にコンデンサがつながれている、教科書などでよくみる回路です。このコンデンサを、エミッタバイパスコンデンサといいます。

エミッタバイパスコンデンサの働き

エミッタバイパスコンデンサは、入力された交流信号によって生じるエミッタ電圧の変動を抑え、エミッタ電圧の動作点を一定に保つ働きがあります。
エミッタバイパスコンデンサをつないだエミッタ抵抗は、エミッタ電流の直流分に対しては作用するけれども、交流信号に対してはなんの作用もしなくなります。交流信号からみると、エミッタ抵抗はない、ということです。

なので、エミッタは GND に直接つながっていることになります。通常、等価回路には RE と CE は書かないようなのですが、コンデンサの計算もしますので、残してあります。
エミッタ抵抗がなければ、ベース電流への帰還がなくなるので「交流帰還なし」です。帰還がなければ、そのぶん電圧増幅率も大きくなる、はずです。

計算してみましょう。

入力インピーダンス

エミッタ接地回路のベースの入力インピーダンス Zb は、

Zb = hFE x (RE + 0.026 / IC)

でした。
ここで、交流信号に対しては RE = 0Ω です。IC はコレクタ電流の動作点ですから、これまでと変わらず 0.92mA です。したがって、ベースの入力インピーダンス Zb は、

Zb = 248 x { 0 + 0.026 / (0.92 x 10-3) } = 7.0 x 103 = 7.0 [KΩ]

回路の入力インピーダンス Zin は、

Zin = 1 / { (1 / RB1) + (1 / RB2) + (1 / Zb) } 
    = 1 / { (1 / 68) + (1 / 33) + (1 / 7.0) } = 5.3 [KΩ]

入力インピーダンスは、かなり低くなってしまいました。

電圧増幅率

電圧増幅率 Av は、

Av = RC / (RE + 0.026 / IC)

でした。ここでも RE = 0Ω として、

Av = 2.2 x 103 / {0 + 0.026 / (0.92 x 10-3) } = 78

これはしっかり大きくなりました。

コンデンサの計算

コンデンサの容量を計算します。

入力コンデンサ

入力インピーダンスが低くなりましたので、計算しなおしましょう。
入力コンデンサは、入力インピーダンスとハイパスフィルタを構成します。カットオフ周波数 fc を 50Hz とすると、入力コンデンサ Ci は、

Ci = 1 / (2π x fc x Zin) = 1 / (2 x 3.14 x 50 x 5.3 x 103) = 0.6 x 10-6 = 0.60 [μF]

なので、2.2μF とします。

エミッタバイパスコンデンサ

エミッタバイパスコンデンサは、トランジスタの hie とローパスフィルタを構成します。hie は、エミッタ側からみると 1/hFE になります。
カットオフ周波数 fc を 50Hz とすると、バイパスコンデンサ CE は、

CE = 1 / (2π x fc x hie / hFE) = IC / (2π x fc x 0.026)
    = 0.92 x 10-3 / (2 x 3.14 x 50 x 0.026) = 113 x 10-6 = 113 [μF]

なので、220μF とします。

出力電圧と入力電圧

電圧増幅率が大きくなりますので、出力電圧と入力電圧について確認しておきます。

出力電圧は、できるだけ大きくしたいです。
コレクタの動作点が 3.03V ですので、コレクタ電圧の変動幅を 1.53~4.53V として、3.0Vp-p の出力を取りたいと思います。

電圧増幅率が 78 ですから、入力電圧は 38mVp-p になります。テスト用発振回路の出力が 0.49Vp-p なので、アッテネータをいれて、インピーダンスを調整しながら電圧を落としましょう。
でも、アッテネータといってもガチガチ設計する必要ないです。L型として、入力側を 15KΩ の抵抗、出力側を 5kΩ のボリュームって感じでいいんじゃないでしょうか。

後記

今回は、等価回路をもとに回路の特性を確認して、定数計算などをしてみました。
と、なんか格好いいこと言ってますが、これでいいのかどうか、これが正しいのかどうか、ほんとのところは俺にはわかりません。でも、こうして考えた結果を実際の回路に組み立ててみたら、なんと、考えたようにうまく増幅ができました。

次回は、実際に組み立てたエミッタ接地増幅回路 (交流帰還なし) の回路図と、動作のようすをまとめたいと思います。

タイトルとURLをコピーしました