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アナログ回路 / エミッタ接地増幅回路に正弦波を入力してみる

アナログ回路というと、なんだかむずかしい。増幅回路も、わかるようなわからんような。
そこで、増幅回路についてあらためて勉強してみようと思います。むずかしい理論は教科書みてください。ここでは、俺が電子工作でかんたんに遊べる程度のことをやっていきます。

前回は、エミッタ接地増幅回路のテストをするために、ツインT形発振回路で 1KHz の正弦波をつくりました。

今回は、この正弦波信号をエミッタ接地増幅回路へ入力して、増幅動作を確認してみましょう。

エミッタ接地増幅回路 (交流帰還あり)

実験する増幅回路は、これまでにつくった電流帰還バイアス回路のエミッタ接地増幅回路です。この増幅回路に、前回つくったツインT形正弦波発振回路から出力される 1KHz の正弦波を入力し、増幅された出力が得られるか、確認します。

実験回路図

図1. エミッタ接地増幅回路 (電流帰還バイアス回路) 実験回路図

図1 が、実験する回路図です。

左側は、ツインT形正弦波発振回路。

  • 発振周波数 1KHz
  • 出力電圧 0.49Vp-p
  • 出力インピーダンス 2.3KΩ

右側がエミッタ接地増幅回路で、電流帰還バイアス回路になっています。

  • 電圧増幅率 2.2
  • 入力インピーダンス 20KΩ

発振回路の出力は、結合コンデンサ C4 をとおして増幅回路へ入力します。結合コンデンサ C4 は、増幅回路の入力インピーダンスとハイパスフィルターを構成するので、カットオフ周波数が十分小さくなるようにします。
増幅回路の入力インピーダンスを ZIN とすると、カットオフ周波数 fci は、

fci = 1 / (2π x C4 x ZIN) = 1/ (2π x 47 x 10-9 x 20 x 103) = 169 [Hz]

発振回路の出力周波数は 1KHz なので、問題ないです。

発振回路の出力電圧は 0.49Vp-p です。増幅回路の入力の動作点は 1.53V なので、振幅は大丈夫です。増幅率 2.2 ですから、出力は 1.08Vp-p で、こちらも大丈夫でしょう。

出力負荷抵抗 R8 として 100KΩ の抵抗をつけてあります。これがないと、出力コンデンサ C5 からの出力が直流分浮き上がってしまいます。

信号電圧の実測値

図2. エミッタ接地増幅回路の出力波形

発振周波数は、無負荷時も増幅回路接続時もほぼ 1KHz で、大きな変化はありません。発振出力は、0.49Vp-p から 0.46Vp-p と少し下がりました。この電圧が、ベース電圧の変化量となります。
エミッタ電圧の変化量は 0.46Vp-pで、ベース電圧の変化量とおなじです。

増幅回路の出力は、0.94Vp-p になりました。電圧増幅率は 2.04 です。波形もとくに歪んでいるようすもなくて、いい感じです。

うまく増幅してくれたようです。

ちなみに、これら信号電圧の変化は、動作点の電圧の変化、です。
たとえば、入力の信号電圧は、ベースの動作点である 1.53V を中心に 0.46Vp-p 動くので、ベース電圧は 1.30~1.76V に変化している。出力電圧であれば、コレクタの動作点 3.03V を中心に 0.94Vp-p で、コレクタ電圧は 2.56~3.50V に変化している。
この電圧の変化から、カップリングコンデンサで直流分を取り除き、交流信号として取り出している。ということです。

入力インピーダンスを測定してみます。
回路図の「V IN」の位置にボリュームをいれ、増幅回路の出力電圧が 1/2 になるように調整します。このときのボリュームの抵抗値が、増幅回路の入力インピーダンスになります。実測値は 21.5KΩ でした。

出力インピーダンスも測ってみましょう。
増幅回路の負荷抵抗 R8 に変えてボリュームをつなぎ、出力電圧が 1/2 になったときの抵抗値を測定します。実測値は 2.96KΩ でした。

「交流帰還あり」とは?

見出しに「交流帰還あり」とわざわざ書いている理由です。

電流帰還バイアス回路は、何かの要因でベース電流が変動するとコレクタ電流も変動してしまうので、その変動分を帰還 (フィードバック) して、動作点を一定に保つ働きがあります。でもそのために、増幅すべき入力信号の変化も帰還されてしまい、増幅率が小さく抑えられてしまいます。
最初に実験した固定バイアス回路のときに 86倍もあった電圧増幅率が、電流帰還バイアス回路では 2.2倍にしかならない。直流のバイアス電圧だけでなく、入力された交流信号にも帰還がかかっている「交流帰還あり」だからです。

んじゃ、もっと増幅率を大きくするためには、「交流帰還なし」にしちゃえばいいんじゃね?
ということで出てきたのが、エミッタバイパスコンデンサ。こいつをエミッタ抵抗に並列につなぐと、交流信号に対してエミッタ抵抗をなくしてしまう、という働きをします。エミッタ抵抗がなければ帰還がかかりませんので、増幅率が大きくなります。

エミッタバイパスコンデンサについては、次回以降に試してみましょう。

後記

今回は、エミッタ接地増幅回路へ正弦波信号を入力して、増幅動作を確認してみました。うまく増幅できましたね。よかった (^_^;)

さて、ここまで勉強してきて思ったこと。やっぱり「等価回路」って、必要だよなぁ。
むずかしい理論はいいです。簡単な、等価回路的な見方ができると、いろいろ理解しやすいんじゃないかと感じます。

ということで、次回は、ちょっとだけ等価回路について勉強してみましょう。

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